ダイアリー






2007年12月18日


熱は下がりませんが、映画を二本も観てきました。
というのも、両方とも、僕にとっては一時も早く観ておかねばならないものでして。

一つ目は、『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』。
ダーガーをはじめて見たのは、1993年の世田谷美術館の「パラレル・ヴィジョン」展。
以来、すべての展覧会に足を運んでいますが、それでも見るたび、新たに思うことはあるわけで。
ああこの刺激を、何か創造にぶつけたいと、じりじりし。
夏に原美の方の御好意で、キヨコ・ラーナーさんとお話したときの興奮までも甦って、焦るわと。

焦燥感に足を乗せて、試写のハシゴ。
ペドロ・コスタの新作、『コロッサル・ユース』です。
パンフにも書きましたが、『ヴァンダの部屋』は、『眠り姫』という大事業を前に、僕に、一人でも映画を撮る勇気と衝動を与えてくれた作品でして。
今回も心して、スクリーンに向き合いました。
で、思いました。
やはり映画は、窓なんだな、と。




2007年12月17日


風邪をひきました。
熱がぐんぐん上がってる感じ。
ああ、このダルさに身を預けながら、だらだらするのもオツなものですね。

振り返ってみれば、先週末は、そりゃ熱もあがるわってなことの連続で。
『眠り姫』の続映に加えて、『ホッテントット』までアンコール上映が決まったわけですから!
ってなことで14(金)は、下北で『ホッテン』上映前に、祝大入り挨拶を済ましてから、即行渋谷へ。
『眠り姫』上映後のトークの打ち合わせで、束芋さんと初顔合わせ。
緊張で汗かいちゃうほど、素敵な方でした。
登壇前の打ち合わせで、
「『眠り姫』は、私にとって、今とても大切な映画なんです」
な〜んて言われた日にゃあねえ、あなた。
もうその言葉を頂いただけで思い残すことはありません、
おつかれさま今日はこれにて失礼いたしますおやすみなさい。
ああ、熱も上がるってなもんですよ!




2007年12月13日


終電を途中下車して、酒を飲み。
朝刊の配達が始まるのを横目に、井の頭通りを延々一時間。
まだ明けぬ濃紺の空を見上げながら、そぞろ歩いて帰りました。

今夜のトーク・ショーは実に感慨深くて。
ある人には、「親戚の法事かなんかで久しぶりに会ったおじさんたちに、ごちゃごちゃ口うるさく言われてる図みたいでしたね」、と言われましたが。
ま、まさにその通りの状況だったんですが。
でも、あれこれ言われたって嬉しいおじさんもいるわけで。

井川さんは相変わらずの独断&偏見的発言だったし、
鎮西さんは珍しく壇上でよく話してくれたけど、一般的には意味不明なことばかり言ってたんだが。
僕にとっては、この上ない祝福なわけで。

ま、すいません。観に来て下さったみなさん。
僕ばかり楽しんでしまって。
大目に見て下さい。




2007年12月12日


作ったものについて語ることの困難に、日々翻弄されています。
『ホッテントット』のトーク・ショーが連日ありまして。
これは“ショー”なんだ、アフター・トークなんだと分かっていてもね。
上滑りしていく自分の言葉に、ジレンマです。

だからなおさら、相手をして下さる皆さんの語りの巧さに舌を巻くわけで。
日曜の佐々木敦さんは、やはり流石!
新雑誌創刊直前の、多忙な時期に駆けつけてくれて。
打ち合わせもなく突入したのに、淀みない、見事な構成でした。
一方、月曜の坂手洋二さんは、異種格闘技ゆえの先の読めぬスリリングな展開。
僕はもう、のど渇き、水、飲む飲む。はあー。
しかし実は、どうやら坂手氏も緊張してたようで。
終わってから、話す話す。3時過ぎまで店ハシゴすることに。

でも圧巻は、花咲政之輔!
マイクを握った瞬間から、もう独壇場! これぞショーでしょう。
あご下にマイクあてる、あの堂に入ったアジるポーズだけでノックアウト!ですよ。
いやあ、楽しかった。大笑い。しびれたなあ。
彼とは初めて会ったのですが、どうやら学生時代が重なってたようで。
彼の“活動”をもしかしたら目撃してたかもしれんなあと。
思いながら、豪快に酒かっ食らって潰れた彼の寝顔を横目に、朝まで飲みました。




2007年12月08日


つくづく損な性格だな、と。
素直に喜びゃいいものを、なんだか気が重くて。

お昼は、銀座のシネパトスで、『マリッジリング』のロードショー、
夜は、下北沢アートンで、『ホッテントットエプロン−スケッチ』のレイトショーが始まりまして。
舞台挨拶を一日に、二作品経験するという事態になりました。

『マリッジ』宣伝のアルゴ細谷さんに、
「なんで七里は、うれしそうな顔しないんだよー」と、突っ込まれましたが、だって、ねえ。
今日は、ジョン・レノンの命日だし、パールハーバーだしと、全く関係ない理由のせいにしときましたが。
ホント、何でだろう?
うれしくないわけないんですが、不安が先立っちゃうんですよね。

そういえば、『のんき』の初日のときも、
上映待ちの列が、地下のテアトル新宿から表へ出て、伊勢丹近くまで延びまして。
お祝いに駆けつけてくれた廣木監督が、それを見て、
「一生に一度だから、Vサインの写真でも撮っとけ」と言ってくれたのですが、
もじもじしてるうちに、開場しちゃったし。
要するに、ノリが悪いんですよね。
だから華やかな世界が逃げてっちゃうんだろうな‥。

でも、一日に二作品の主演女優と、久しぶりに会えて。
二人ともそれぞれに、盛り上がっていて。
彼女たちの晴れ舞台に立ち合えて、良かった。

それにトークショーで、人形作家の清水さんとも再会できたし。
実は二つの舞台挨拶の合間に、『ホッテン』打楽器・宿谷氏宅での忘年会にも顔出したり。
あちらこちらで酒を飲み続けて、充実した?一日でした。
朝から終わりまで付き添ってくれた助監督茶谷くん、ありがとう、ご苦労様。

あ、あと一つ。
『ホッテントット』の上映後に、ひょっこり高校時代の友人が現れて、びっくり。
おめえ、変わってねえなあ、と言われ、
おめえこそ、と。
自然に笑みがこぼれたのは、あの時かな。




2007年12月03日


帰宅して、ふーと一息。

今日、この日を迎えることは、僕にとってある意味、
自作の公開よりも、緊張して臨んでいたわけで。
だって、あの、柴田先生ですよ!
文章を頂いただけでも、身に余る光栄なのに。
対談までさせてもらっちゃうわけですから。

「入試前の受験生みたいですね」。
登壇直前の舞台袖で、司会の北田さんに微笑まれて。
いや、まったく、その通り。
地に足が着いてないというか。

壇上に並んだ、たった二つのイスの片側に、
自分が座り、隣に柴田元幸がいて。
なんだか、僕に関係あることを話してらっしゃる。
この夢みたいな状況が、最後まで半分信じられなくて……。
いやいや、アガったからなんて理由をつけるのは、潔くないですね。
自分のおつむの回転の鈍さが、もどかしくて。

後から、つらつら思い返すに、
せっかく、知の巨人が気さくに、話を面白く返せるような質問を、あれやこれやしてくれたのに、
ウイットもユーモアもない、愚直な答えをしてばかり。
きれいな軌跡のトス・ボールを、
ただ闇雲に、バット振り回して当てようとしていたというか。

ん〜でも、気の利いたことを言おうとか、
柄にもないことしたって、ろくなことないだろうから、
あれでよかったのかなあ。
でもなあ。

思えば、大学一年生のとき。
とある先輩に、「これは君の参考になるかもしれない」と教えられ、
読んだのが、『鍵のかかった部屋』でした。
以来、約20年。
オースターはもとより、ミルハウザーやダイベック、ゴーリーから『ロックピープル101』まで。
先生の著書の半分も読んでない、生半可なファンですが、
自作を評していただける日が来るなんて、夢にも思わなかったです。

それにしても、なんてカッコいい方なんでしょう。

事前の打ち合わせどおり、映画を観て、最後のクレジットのところで、
さあーっと客席を立たれた先生。
僕も遅れてロビーに出ると、先生は一人、エレベータ横の階段の暗がりで、
こちらに背中を向けて、佇んでいました。
短い間でしたが、じっと沈思するその風情が、
今も、目に焼き付いて離れません。




2007年12月02日


「最近よく出歩いてますね」と、侘美くんに言われまして。
この日記を読んでのことだと思うのですが、いえいえ違うのです。
出歩いたり、人と会ったときだけ、日記を書いてるわけで。
つまり、書いてない日は相変わらず、悶々としているのですが。

と言いつつも、確かに、ここのところあちこちに、出没してるなと。
一昨日も、高円寺のコクテイルへ。
あの感動をもう一度と、松倉如子と渡辺勝を聞きに。
で、中川五郎さんも、また良くて。
いい気分で、ゆらゆら、阿佐ヶ谷のバルトへ。
給料日だった友人のおかげで、ワインを一本、空けてしまい。
いつのまにやら終電を逃して、歩いて帰りました。

その酒も抜けきらぬまま、翌日は、野毛山の急な坂を上りまして。
急な坂スタジオでのワークショップ。
方法マシンの安永さんの、「音楽映画・横浜」の練習です。
いやあ、疲れました。
あんなにぶっ続けで文字を書き、唱えさせられたのは小学生以来じゃないかな。
いやいや、小学校であんな授業はありませんね。
で、へとへとなまま、下北アートンへ。
『ホッテントット』の上映チェック。いよいよ、今週末から公開です!
そのあと、同じ下北で偶然開催していた、『狸御殿』のときのスチールウーマンの写真展イベントに顔を出し。
またしても助監督時代の上司と、ばったり。
まあ、飲みに行ってしまいますわな。

そして今日。
三茶トラムでカフカ『審判』を観た後、中野へ。
お世話になった清麿師匠の「寄席・夢月亭」です。
で、度肝を抜かれました。
柳家喬太郎。
噂には聞いてましたが、その芸を見るのは、不覚にも初めてでして。
いやあ、凄い!
今、噺家の中では一番じゃないでしょうか。
と興奮してましたら、清麿師匠も、「あれは旬な芸人だけが、できる芸ですよ」と。
いやあ、いやあ、いいものを見せていただきました。




2007年11月29日


エキストラに借り出されて、久しぶりに現場へ。
そこで同じく呼ばれて来た、助監督時代の上司である先輩監督と久しぶりに会いまして。
昼までに用は済んだので、いそいそと。
近くの蕎麦屋へ入って、飲んでしまいました。

監督ってのは、一部のスターを除けば、皆だいたいは、
ニートや引きこもりに近い生活をしてるんだなあと、実感&連帯感。
少しは気が楽になりました。
この、楽になるってのが、ウツ気味には特効薬なんですなあ。
「人生、終わりの方に近くなっちゃいましたねえ」と言えば、
「やっと終わりが見えてきたってことじゃねえか」と応じてくれて。
ああ、この洒脱な人柄が、好きなんだよなあ。
大事な先輩です。

夕方には飲み終えて、銀座へ。
上田風子さんの個展を観に。
偶然、ご本人がいらして、初対面。
絵の感想も巧く言えず、相変わらずの人見知りですいません。

もう一軒、足を伸ばして野口里佳さんの写真展。
そしてもう一件、用事を済ましてからアムリタ食堂へ。
ライブでお世話になった、グンデル奏者の堀川さんらの演奏を聞きに。
インドネシアから来たダンサーが素晴らしかった!




2007年11月24日


昨夜はすっかり、舞い上がってしまって。
あんなにはしゃいだのは、いつ以来なんだろう。
山本直樹さんとのトークショーだったのですが、
自然と顔がニヤけてしまって。

後で飲みの席で、花摘会のある女性に、
「好き好き光線出しまくってましたよ」と冷やかされまして。
いやあ、御来場のみなさま、すいません。
ただのファン、丸出しでした。

で、ファンとしては今、『レッド』のことを聞きまくるしかないわけで。
司会をしてくれた宣伝の原田君から、「あの、『眠り姫』についても何か‥」とお咎めが入ってしまうくらい。
これが何のイベントかを、全く忘れておりました。
と言うわけで、壇上では聞き足りなかったことを、みなさんが映画を御覧の間、宴席でじっくりと。
いやあ、重ねてすいません! 僕はあのとき世界一の幸せ者でした。
ああ、『眠り姫』。
頑張って作って良かったと、つくづくかみ締めたのであります。

そんなこんなで、山本先生の乗るタクシーを見送った後も、興奮冷めやらず、
そのままの勢いで、『国道』チームの愚連隊打ち上げに突入!
なんだか知らない間にカラオケまで同行して、
帰りたくなーいと寂しがり発言の富田君に引きづられ、
早朝のセンター街で牛丼。
帰宅したら9時でした。

しかし今日は、市民健康診断の残りがありまして。
どろどろフラフラのまま、心電図にレントゲン。
「異常ありませんよー」と明るく、問診で言われてもねえ。
不摂生と不健康の見本のような生活をリセットしたかったのですが、
午後には、ハープの堀米さんのミニライブありまして。
とっても上品なギャラリーでのアクリル画展へ。
俺、酒臭くないかなあと隅っこの方で身を縮めておりましたら、挨拶する場を作っていただいて。
映画の宣伝をさせてもらえて感謝!とともに、みっともない姿を陳謝です。

でも一日(あ、二日目か)はまだまだ終わらず、
夜はヴィオラの波田生さんが参加する“半獣神の午後”へライブのはしご。
変拍子の嵐のような楽曲群に、眠気も吹っ飛び、ふー。
いざ、ユーロへ。
と、渋谷に向かったら、『ホッテントット』の藤田君からメールが。
急遽、渋谷FMの生放送に出させてもらえることになったと。
ダッシュして、マークシティ奥の公開スタジオへ。
22時オンエア直前に滑り込み、DJで詩人の東さんの見事なナビゲートで一時間を無事に完走。
しかも、放送中に僕はいったんスタジオを抜けて、ユーロへ顔を出し、
偶然見に来てくれていた『ホッテン』衣装の生頼さんを連れ戻るという、まさにライブな番組構成でした。

いやはや。
アドレナリン全開の48時間。
日ごろ、うつうつと過ごしている反動ですかね。
まあ、たまにはソウのときもあるってことで。




2007年11月22日


ついに袋とじですよ。フライデイの。
立ち読みで済ますこともできないので、買ってしまいましたが。
あ、『マリッジリング』の記事です。グラビアです。
“保阪尚希、禁断の不倫現場!”ですからね。

いやあ、そういう映画を期待して観に来るお客さんには、申し訳ない。
渡辺淳一原作もの史上、まれにみる、そこはかとない作品に出来上がってますので、請うご期待!
って、期待を裏切ってるのか。
あの宣伝ヴィジュアルに、だまされないでね。

まあ、“人が出てくる『眠り姫』”と思って観に来ていただけると。
オヤジの殿堂・銀座シネパトス(大阪は天六ユウラク座)で12月8日からロードショーです。
女性の方も、ぜひ。
でも、入りにくいかなあ。





2007年11月20日


まあ、相変わらず、どんよりしてまして。
毎晩、劇場に顔を出す前に、カンフル剤を打つかのごとく、
あちらこちらに出没しております。

日曜は、松倉如子&渡辺勝さんのライブ。
「新宿に星が降るのだ!」と、タイトルを叫びたくなるくらい良かったです。
勝さんの歌は、人生を搾り出すように、はりつめていて。
まばたきさえも許さないような、凄みがあって。
でも、それに全くひけをとらないのが、松倉如子。
彼女は一声で、持って行ってしまうんだよなあ。
連れて行ってくれるんですよ。
詞の一言一言に、命を吹き込むように歌う、あの様が素晴らしい。

昨日は、広島から来た怪物と飲みまして。
あ、知る人ぞ知る、宮岡氏です。
さしで飲むには、僕は力量不足なわけで、
吉田&桑野氏が傍で見守ってくれたのですが。
彼の『眠り姫』評には、我が意を得たり。
それでいいのだと背中を押されました。

で、今日は本郷の赤門をくぐりました。
シンポジウム「世界解釈としての文学」です。
パネラーは、池澤夏樹、柴田元幸、沼野充義‥。
名を書き連ねるだけで、背筋がしゃんとしますね。
カナダの日本文学者、テッド・グーセンさんがケルアックの『オン・ザ・ロード』の出だしを朗読したのですが、
原文で聞くと、言葉がビート!
音楽のようでした。

ってなことで、カンフル打って、自分を奮い立たせながら、
ユーロへの坂を、毎晩、上っているのであります。




2007年11月17日


初日です。
この日を、どう送ろうかと思いまして。
まず、青梅の喫茶店、夏への扉へ向かうことにしました。

電車に揺られて1時間。お昼頃に着いて。
早速、店主ご夫妻に、今日から劇場公開だと報告したら、とっても喜んでくれて。
ちょうど居合わせた、近くに工房を持つ彫刻家の赤川さんも交えて和やかに話が弾んで。
で、そろそろ東京に戻ります、ごちそうさまと店を出て、
発車間際の上り電車に飛び乗って、線路沿いの店を通過した後、気づきました。
あ、カレーと珈琲代、払い忘れた。
すいません!
今度うかがった時、必ず払います!!

引き返せなかったのには、わけがありまして。
知人が主宰する劇団が公演中で、
今日の昼の部を逃すと、不義理をすることになってしまうから。
そんなわけで、新宿へトンボ返り。
なんとか間に合い、観劇。
会場で、『眠り姫』のキャストでもある園部君とばったり。
お茶でもしようかということになり、
なぜか吉野家に入って、牛皿をつまみにビールを飲みました。
そういえば、『のんき』の初日のときも落ち着かなくて。
親友のクラリネット吹きと、三平食堂で、舞台挨拶前に飲んじゃったなあ‥。

とか、つらつら思い出しながら一人、明治通りをそぞろ歩きで渋谷まで。
ユーロに着いたら、もう、けっこうロビーは人だかり。
え?もしかして?
満席でした!!
ふー。良かったあ‥。

緊張の挨拶とトークショー。
何度やっても、巧くはできないもんですねえ。
でも、ちょうど観に来てくれた山本浩司くんが、飛び入り参加してくれて。
なんとか様になったかな。
山本くん、どうもありがとう。

しかし、終了後はロビーから、そそくさと退散してしまいまして。
初日から公約違反。
すいません。




2007年11月16日


いよいよ、明日です。
ああ、明日からなんだなあ。

ということで、髪を切りに行きました。
で、自分の性格について、重大な疑問が浮かんだのでした。

いつもの美容師さんに、お願いしまして。
その人はなかなか勘のいい人なのか、
初めてのときから、僕とは無言で仕事を遂行してくれるのですが、
それでも職業柄、何かの弾みで話しかけてしまうわけです。
すると僕は、一応、そつなく受け答えするのですが、
無意識のうちに、すぐに会話を終わらせようとしてるのです。

決して、話が合わないとか、そんなんじゃないですよ。
むしろ察しが良くて、好感が持てるぐらいなのです。
それなのに何故か、お終いへ導くのです。
これは、人見知りとか、人付き合いが苦手とか、そんな程度じゃないのかも。
誤解を恐れず申し上げれば、
人と仲良くしたいという意識が、根本的に欠落してるんじゃないか?
鏡に写った髪を切られてる自分を眺めながら、そんな疑いが頭を駆け巡ったのでした。

そんなわけで、決心しました。
上映期間中イベントの無い日も、劇場へ足を運んでみようかなと。
ロビーでぼんやりしてようと思うので、もし気づいたら、
感想などぶつけてみて下さい。
たぶん、うまく答えられないし、すぐ黙ってしまいますが、
勘弁してね。




2007年11月14日


久しぶりに『のんきな姉さん』を観ました。
アップリンクで、日本映画独立愚連隊という特集上映がありまして。

普段自分が作ったものって観ないので、四年ぶりかな。
2004年の劇場公開のとき、テアトル新宿で。
まあ、自分の映画を映画館で観れることなんて、そうそうないだろうと思って、
楽日の前日に、こっそりお客さんに混じって観て以来。

で、今日です。
いやあ、我ながら、ぶっ飛びました。
なんて観念的なんだ‥。
トークショーのホスト役の富田くんも言ってたのですが、
よくぞこれを、商業映画として劇場公開してくれたもんだ、と。

ここ数年、俺、ヘンテコな映画ばかり作ってるなあと思っていたのですが、
いやいやどうして、『のんきな姉さん』に比べたら、
『眠り姫』って、とっても分かりやすい映画ですよ。

という発言には、なかなか賛同を得られませんでしたが。
ただ、あれですね。
人間って変わらないもんですね。
すっかり忘れてたんですが、やはり『のんき』でも、
冬の枯れ木や、その長い影を撮ってるんですよね。
カーテン、黄色いし。

あ、忘れそうなので、先にいつもの告知を。
今週18(日)の世界遺産を書きました。
こないだのテキーラと同じメキシコの、銀山の話です。
前回のほのぼの路線とは打って変わって、南米の呪われた歴史に触れる、
問題提起で硬派な話です。

でも、今週末からはいよいよ、『眠り姫』の劇場公開。
みなさんー!日曜夜も映画館へ来てくださーい!




2007年11月12日


一週間なんて、あっという間ですね。
写真展の飾り付けに、さあこれから始まるんだあと高揚したのは、
先週の月曜日。
あれから、火、水、木、金、土、日。
確かに一週間経ちましたねー。

と、当たり前の確認をしたくなるほど、
実にいろいろなライブを、毎晩開きました。

先日の日記に書いた後も、
マイク・オールドフィールドのような美しいギターをフィーチャーした、
高田壱さんのトリオがあったかと思えば、
翌日は、元気と若さいっぱいな即興コント集団と、
いぶし銀のような清麿師匠の新作落語の組み合わせ。

いやあ、それにしても師匠の洞察力には、感服いたしました。
『眠り姫』にインスパイアされた新作落語?
謎かけのようなお題が、ああも見事にまとまるとは!
映画なんて軽く飛び越して、作家性を撃たれたような。
痛いけど嬉しい〜みたいな。
監督冥利につきました。

そして、土曜はグンデル・ワヤンですからねえ。
落語からいきなり、バリ島の伝統音楽&舞踊ですよ。
高座を組んだ同じ場所に、翌日には、結界のような紙飾りがぶら下がってるんですから。
こんなイベント、世界中探しても、歴史上初でしょうよ、きっと!

で、日曜のクロージングは、まずは堀米さんのグランドハープのソロ演奏。
美しい。実に、美しい音色でした。
僕はすっかり虜になりました。
そして、ルクスプラス。
侘美くんたちのグループです。

ああ、お腹いっぱいな一週間でした。
みなさん、お疲れさまでした。ご協力ありがとうございました。
久しぶりの文化祭、堪能させていただきました!




2007年11月08日


昨夜、ヒバクした夢を見ました。
被爆です。
トンデモないですよね。

音は無かったような気がします。
ただ、とてつもない光に、からだを貫かれて。
そして、誰とも知れない声にささやかれたのです。
何と言われたか、はっきりは思い出せませんが。
「浴びちゃったね‥」みたいな‥

びっくりして目が覚めました。
キテます。かなり。
人前では平静を装ってますが、少しずつ、壊れているのかな。
ふー。

いよいよ始まりました。
写真展&ライブが。
一昨日は、方法マシーン。
やってくれました、ベケットの「クワッド」。
もう、笑いをかみ殺すのに必死!
いやあ、好きだなあ〜。
終わってからも、ひとりでに足踏みしちゃってました。

昨日の松倉さんも、凄くて。
彼女の声は物語を感じさせるんですよ。
じわじわと、染み渡るのです。
でもお客さんが少なくて、もったいなかったなあ。
だって伴奏は、元はちみつぱいの渡辺勝さんだったのですよ!




2007年11月04日


肌寒くなってきましたね。
いつの間にか、11月になっちゃって。
ああ、どうしましょ。

今月から来月にかけて、
この3〜4年間やってきたことを、
一気にまとめて人前に差し出すことになるわけです。
もうギリギリ。
引きこもってる場合じゃありません。
自分を奮い立たさねばなりません。

今週はいよいよ、宮沢くんの写真展。
(彼との腐れ縁については、2005年の日記0511を参照)
そして、日替わりライブが始まります。
方法マシンは何をしでかしてくれるのでしょう?
『水兵少女』の実像とは?
ドキドキです。

(あ、ちょっとだけ情報を。『水兵少女』は、『ホッテントット』生演奏上映に参加してくれたミュージシャンたちの、特別ユニット。なんと、新柵未成が朗読[Voice]で参加します)

さて。
昨日は、金子雅和くんという若き映像作家の個展に招かれ、お話しました。
彼の作品は、今回始めて見たのですが、実に撮影が巧い。
あれは、天性のセンスですね。
それについては、上映後のお茶席で、鈴木志郎康さんも同感しておりました。

会場には、金井勝さんもいらしていて、
大和屋さんの思い出話など立ち話したのですが、
いやあ、金井さんは、強烈な人ですねえ。
ディスイズ・ジャパニーズ・アンダーグラウンドな空気をいっぱい吸って、
イメージフォーラムからアップリンクへ。

『国道20号線』の初日だったのです。
富田くんとは、あいにく会えなかったのですが、
トラや石原くんやら、空族のメンツと。
そうそう。
石原くん、ホッテントットのHPありがとう。
予告がupされたので、みなさま、ぜひご覧下さい。

さてさてそれから、
維新派の新作「nostalgia」を観てきました。
数年前の新国立での舞台は見逃したので、
今回初めて、コヤで観るジャンジャンオペラを体験。
正直に言えば、野外劇でのあの圧倒的な感動には達しませんでしたが、
口ずさみたくなるような、小気味良さが印象に残り、
今後の第二部、三部への期待を抱きました。

そういえば昔、侘美くんと関わっていた劇団で、
一時期、制作をしていた心優しき青年がおりまして。
維新派にも少しの間いたとか言ってたなあ。
もう十年以上前の話ですが、ふと思い出しました。
伝説の漫画家、故・湊谷夢吉さんの息子さんで、
夏くんと言うのですが、今はどうしてるのでしょう?




2007年10月27日


うつでして。
ま、そんなことも言ってられない状況なので、
なるべく表に出るようにしてるんですが。

てなわけで、今週はいろいろ見ました。
まずは、『船、山にのぼる』。
ドキュメンタリー作家の本田さんの新作が完成しまして。
そのお披露目上映を横浜のバンクアートへ見に行きました。
ダムに沈む町で、注水時に、巨大ないかだを浮上させるという、
アート・プロジェクトを記録したものなのですが、
計画から実現まで、10年以上ですよ!
ひとつ事を成し遂げるまでの息の長さに、勇気が湧きました。

それから、『タイペイストーリー』。
エドワード・ヤンの作品中、これだけ見てなかったんです。
やっと見れた。
主演は、ホウ・シャオシェン。
劇中のキレっぷりは、主役を張るに納得の、堂々とした演技でした。
上映後は、ホンホン監督という『恐怖分子』の助監督で、
『クーリンチェ』では脚本も勤めた元スタッフの話も聞けたし。
僕のささやかな、追悼です。
そう言えば、『クーリンチェ』を最初に見たのも、東京国際だったなあ。

そして、燐光群の芝居を久しぶりに。
『ワールド・トレード・センター』。
9・11を坂手洋二がどう斬って見せるか期待して行ったのですが、
予想した武骨な直球勝負ではなく、スローカーブに泳がされた感じ。
してやられました。

アフター・トークには、羊屋白玉が登場して。
七年前のことを思い出しながら聞いてました。
ちょうど9・11の時、羊屋さんはニューヨークにいて、
東京とインターネットの同時中継でパフォーマンスを上演したのですが、
それについては僕にも、ちょっとした逸話がありまして…。

あのとき、案内のチラシが届いて、ん?と思いました。
ニューヨーク側の出演者に、覚えのある名があったのです。
それは、学生時代に僕の映画に出ていた人なのですが、
その時はもう10年近く音信不通で。
同一人物なのだろうか? テロ後の安否も気になるし。
でも、引っ込み思案なので、一人で確かめる勇気がなくて。
共通の知人だった、写真の宮沢を誘って見に行きました。
確か当時まだ日芸の学生だった富永(昌敬)くんも、何故か、ついて来て。

で、結局どうだったかと言いますと、
まさに僕らの知る彼女だったわけですが、
ニューヨーク在住の舞台女優というには、あまりに昔と変わってなくて。
頭を抱えて、観劇後、カレーを食べたのでした。
人って変わらんもんだね、世界って狭いね、とかなんとか言いながら。
まあ、元気そうで良かったけれど。
そうそう、あの渋谷百軒店のインドカレー屋・ナイルも、
閉店してしまったのだよなあ。

さて。
今日も芝居を見ました。
monの『私の知っている男は、これだけ』を。
あいにく外は台風接近の暴風雨でしたが、
たくさんお客さんが来ていて良かった良かった。
『ホッテン』や『眠り姫』の上映で頑張ってくれてる、
山本ゆいちゃんが美術をしている芝居なのです。
場面転換が独特な感触で、面白かったなあ。
映像のオーヴァー・ラップのような。
複数の人物が登場しても、頭の中は地続きで、それを覗いてるような。

さてさて、最後に明日の告知を。
毎度、世界遺産です。
28(日)のテキーラの回を書きました。
知ってましたか?テキーラって、世界遺産だったんですよ!
いつもの格調高さから、ちょっとくだけて、
のんきなメキシコの風景と、お酒の話をします。
お楽しみに。

ああ今日は、だらだら長文になっちゃったなあ。
うつだからかなあ。




2007年10月19日


うつです。
うつうつと過ごしてます。

最近、なんでこんな気分なのか?
まあ原因がはっきりしてれば、ゆーつにも対処できるんでしょうが。

さて。
そんなときに音楽は、いっときでも、現在を忘れさせてくれます。
今日は、カッセのコンサートでした。

久しぶりに、「のんき」のテーマを、しかも生演奏で聞いて、
恥ずかしながら、ぐっときてしまいました。
名曲ですなあ。




2007年10月10日


三番地が、無くなってしまいました。

三番地という珈琲屋です。
ご存知の方もいるかもしれませんが、
東京で一番美味い珈琲を出すと、僕が信じて疑わなかった店でして‥

ある意味、この町に住んでいる理由の一つでもあるくらい、
特別な場所だったのです。
かかる音楽も、とても品があって、好みだったし。

特別だから、あんまり週に何度も行ったりしなかったのが、
あだになりました。

ようやく原稿の目途が付いて、ふーっと一息つこうと思ったら。
紙切れ一枚、がらんとした店舗のガラスに。
「10月8日閉店しました」

なんでだー!

でも、そんな感じの人だった、あのマスターは。
こんなことなら、毎日行けば良かった。




2007年09月29日


う〜ん、眠い、眠い。
寝たりないのは、ただ単に寝てないからだけなのですが。

理由は簡単、いつもの世界史の補習と追試です。
しかも、2週間ちょっとで二本書けという指令が下ったから、さあ大変。

でも、こんな時ほど、現実逃避してしまうのが人情。
飲べえ知り合いが、パレスチナの演劇人と、
井の頭公園でやってるテント芝居を見に行ってしまいました。

芝居っていいなあ。
どっからともなく楽隊のパレードが現れて、
マリオネットやら、白塗りの踊り子やら、ロバまで出てきて、
ただの公園の敷地が、いつのまにやら祝祭空間になっちゃうんですからね。
日常から遠く離れて、とっぷり異次元世界に浸らせてもらいました。
なかでも特に良かったのは、
パレスチナの女優さんと、不破大輔の音楽。
お終いには、テント芝居お約束の例の手法もバッチリ決まるし。

10月7日までやってるので、興味持たれたらぜひどうぞ。
『アザリアのピノッキオ』という芝居です。





2007年09月19日


日々が、忙殺され続けています。

こんなときほど、無性に、何かを吸収したくなるもの。
読みきれぬほどの本を、図書館で借りてしまったり。

そんなわけで今夜は、
柴田元幸さんの講演を聞いて、知的興奮と刺激を受けた勢いで、
ポレポレ東中野のレイトショーへ、はしご。
沖島勲監督の『一万年、後‥』を見てしまいました。

衝撃的に面白かったです。
面白すぎます。
凄いですね、あの壊れ具合は。
シュールとか、アヴァンギャルドとか、ポストモダンとか、
そんな言葉が薄っぺらに感じるほど。
年季が違うと言うより、腹の据わり方が違うのだな、きっと。
こんなにぶっ飛んだ映画は、今後何年も現れないのではないでしょうか。

さて、告知です。
毎度です。

今週日曜23日の世界遺産は、構成を担当した回です。
お題は、イギリスのキュー植物園。
18世紀から続く、世界で最も有名な植物園の過去、現在、未来のお話です。

過去とは、かつてプラントハンターという植物採集冒険野郎たちが活躍したってこと。
現在は、絶滅危惧種の保存と復活に取り組んでいて、
未来へ向けて、ミレニアムシードバンクという、植物版ノアの箱舟計画を遂行中なのであります。

ぶっ飛んでないけど、面白いよん!




2007年09月16日


チラシを持って、青梅まで行きました。
「夏への扉」へ。

あ、『眠り姫』でクライマックスのシーンを、
ロケさせてもらった喫茶店です。
(居眠り日記・2005年0428参照)

一年振りなのに、全然そんな気がしない、
つい先週も来てたような錯覚に陥る、不思議な店です。
時が止まってるみたい。

美味しい雑穀米のカレーをいただきながら、
ふと窓外を眺めると、線路を挟んだ向かいが更地になってる。
あれ?確か、あそこは古い民家だったはず。

ですよね?と尋ねると、
「マンション建てるんだって。14階建ての」
と、お店の方も呆れ顔。

あ〜あ。
つまりあの、奇跡のような日没の光は、
失われてしまうわけです。

よく晴れた冬の日暮れに、
窓際の席で息を殺して撮影した、光と影のドラマ。
映画の核心となった光景を、もう二度と見ることができないんだなあ‥

何とかならんもんですかね、どこもかしこも。
無粋な世の中に、ファック!




2007年09月10日


山本浩司くんと、久々に会いました。
ポン組の現場で。

ちょうどその日、内トラで出演する女の子がいまして。
(あ、内トラとは、スタッフ関係者が出演することの現場用語です)
彼女はガチガチに緊張して、どうにもこうにもな様子だったので、
三人で立ち話していたときに、聞いてみました。
「山本くんは、緊張したりするの? したらどうするの?」
すると、

「家に帰りたくなります。
 僕、すぐに、帰りたくなっちゃうんです」。

その答えに、とっても親近感を覚えました。




2007年09月06日


台風の直撃で、
現場が比較的早く引けたので、
帰宅する前に喫茶店に寄って、新聞を開いたら、
佐藤真さんの自殺の報が。

なんとまあ。

事情はわかりませんが、
死んでしまいたくなるような世の中ではあるなと。
驚きとともに、ある種の共感めいた思いがこみ上げてきました。

ご冥福をお祈りいたします。




2007年09月04日


チラシのデザインが、出来上がりましたあ!

すでに春から出回ってる、細長い予告チラシも斬新でしたが、
今度のも、鮮烈ですよ。
すばらしいっ!
デザイナー渡辺さん、ありがとうございます。

これから秋に向けて、あちこちに出回り始めますので、
目に入ったら、どうぞ手に取ってみて下さい。
きっと、じんわり切ない記憶が呼び起こされるはず。

僕は、もう、泣きそうです。




2007年08月28日


残暑厳しい日々。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
僕はこのクソ暑い中、
久しぶりの現場仕事で毎日、滝のような汗を流し続けております。

先週からすでに一週間近く。
ポン・ジュノ監督が日本で撮影している映画に、
メイキングという気楽な役職で付いているのです。
ま、公式見物人とでも言いましょうか。

とは言え、ここ数日は、早朝五時過ぎには家を出て、
帰宅は日付が変わってからという、ハードワーク&睡眠不足で、
カメラを持つ手も疲労骨折気味だったのですが。
ようやく今日は、日記でも書こうかなという時刻の帰還だったわけです。

それにしても、ポン監督。

正直に言えば僕は、見た3本の映画に、
さほど感銘を受けたわけではなかったのですが、
(あの中では、『吠える犬は噛まない』が好きかな)
なかなかどうして。

失礼な言い方ですが、彼は、たいした男です。
監督として、カッコいいなあと心底感じます。
エネルギッシュで、賢明で、真摯。
ほれぼれする場面に何度も遭遇しました。

いやあ、いい現場を見させてもらっております。




2007年08月18日


今夜は、バリ島のグンデルと踊りを見てきました。

と言うのも、秋に『眠り姫』劇場公開イベントとして、
写真展をやるギャラリーで、日替わりライブを企画してるのですが、
そこで、彼女たちにも出演していただくことになってるのです。

ワヤンの影絵は昔、見たことがあったのですが、
踊りを生で見たのは初めてでして、いやあ神秘的ですね。

これぞ、アジア伝統のトランス・ミュージックというか、
ガムランの心地よい金属音に身を任せ、踊りに目を奪われてると、
あっという間に、30分ぐらいは経ってしまっていて、
いやはや、不思議。
竜宮気分と申しましょうか。

これは、秋のイベントが楽しみです。

てな感じで、帰宅してHPを開いてみると、音が付いてました。
Topページに『眠り姫』のメインテーマが。
いやあ、たまげた。
おまけに、日記ページもかっちょよくなってるじゃ、あ〜りませんか!

HP制作の皆様、誠にありがとうございました。
これからも気を抜かず、更新続けていく所存でございます。





2007年08月10日


東京に帰ってきました。
戻って早々、日本を離れてしまう友人のライブがありまして。

それさえなければ、
東京には戻りたくない気分だったのですが。
彼との別れは、何にも勝る一大事だったので。

というのも、
彼とは、彼が20歳になるかならぬ頃から、
もう十年以上のつきあいでして。
ずいぶん年下なのですが、
なんてストイックな生き方の風来坊だろうと、
心の拠りどころでもあった、男なのです。

そういうヤツなので、
ここ数年は、すっかり社会の状況に嫌気がさしていて、
こんな日本にゃオサラバだよと、
クラリネット一本、頼りに、
ニューオリンズへ行ってしまうのです。

ああ、ミュージシャンは身軽で、うらやましいなあ!

ライブも最高でした。
この日は、余業のアルトサックスで、
ソウルのダイナマイト・レパートリーを、
ブルースブラザースよろしく、ぶっ放してくれました。

いやあ、かっこよかったなあ。
彼こそ真の、ミスター・ソウルマンでしょう!

きっと本場のニューオリンズでも、
聞く者の魂震わす演奏を、繰り広げてくれるはずです。

あと数日。
心ゆくまで、別れを惜しむことにします。




2007年07月24日


いよいよ、イメフォフェスも最終地。
札幌での『ホッテントット』上映に、同行して参ります。

北海道へは、これが二度目。
前回は、10年以上前に、あるTV番組のADとして。
先行突撃取材で、帯広へ飛ばされて以来です。

いやあ、楽しみだなあ。

というのも、上映後は、
そのまま、小樽の友人宅に、しばらく逗留させてもらい、
東北の祭ラッシュの頃に、青春18切符で放浪しながら、
ふらふら帰ってこようと思っているからです。

てなことで、早々に告知を。
8月5日に、構成を担当した世界遺産が放映されます。

『ハバナの旧市街地』。
コロンブスの上陸から、カストロとゲバラの革命まで、
キューバ400年の激動の歴史を、たった30分で語り切るという、
力技の回です。

放映の頃、僕はおそらく東北地方を、マン喫ジプシーしてると思います。
ああ、体調が不安だ…。




2007年07月19日


昨日、記憶を無くしました。

夜中に目覚めたら、植え込みに寝ていました。

確か、昼の3時くらいから、
友人の写真展を開いてる店で飲み始めたのですが、
仲間が増えて、そのまま次の台湾飲み屋に雪崩れ込み、
そんなに量も飲んでないのに、なんだか呂律が回らなくなり、
あとは覚えていません。

今日、電話で友人が知らせてくれた情報によると、
いつのまにかフラフラと店を出て、
彼らが止めるのも聞かず、駅と反対方向へ歩いていってしまった、とのこと。
アホです。

しかも、植えこみで目覚めたあと、
実はもう一軒、飲みに行っちゃったんですよ、これがまた。

もう、アカンですな。




2007年07月16日


原美術館での「ヘンリー・ダーガー」展。
そのクロージング・パーティに参加しました。

というのも、ダーガーの生前を知る大家さん、
キヨコ・ラーナーさんがいらっしゃるというので。

僕が、ダーガーの絵を初めて見たのは、1993年。
世田谷美術館のパラレルヴィジョン展でした。
(その存在を知り、興味を持ったのはさらに遡ります)

以来、その作品や資料に触れる機会は、常に逃さず体験してきた程、
ある種の啓示を貰ってきました。(ちょっと、大袈裟かな…)

てなことで、今回も、
どうしても聞いてみたいことがありまして。

その質問に、キヨコさんは答えて下さいました。
それは、予想だにしない答えでした。

いやあ、びっくり。
またしても、雷に打たれちゃった。

あまりに凄いので、今は書きません。
僕の密かな創作の源にさせていただきます。

何これ?
ただの自慢?




2007年07月13日


思いもよらないことって、あるもんですね。
いやはや、びっくり。
というか、どうしましょう…

秋にユーロスペースで『眠り姫』を公開する際に、
腐れ縁の同志・宮沢豪の写真展を、
渋谷のギャラリーで開く企画を進めてるのですが、
ただ写真展するだけじゃあ、納まらなくて、
毎晩、日替わりライブイベントをすることになりまして。

で、いろんなミュージシャンが参加して下さるのですが、
凄いっすよ!

JAZZのトリオに、室内楽団、
弾き語りシンガーや、アンビエント・ミュージックから
踊り付きのバリ島ガムラン(グンデル)まで、
これでもかという多彩なジャンル!!

でも、それだけじゃあありません。
当たり前のことですが、
ライブは、音楽だけじゃあございません。

話芸です。
落語です。
高座を開こうなどと、
大それたことを考えてしまいまして。

それで、本日、お願いに上がってきたわけです。
夢月亭清麿師匠に、ご登壇願えないかと。

そしたら、さすがは師匠、
快くお受け下さった上に、
思いもよらない提案をなさいまして。
いやはや、びっくり。
というか、どうしましょう?

って、全然説明になってませんね。
でも今は、これぐらいで勘弁して下さい。
提案の中身については、そのうちまたいずれ。

でも、どうしよう…




2007年07月02日


友人から知らされて、しばし絶句しました。

そう言えばもうずいぶん、新作が来なかったけれど、
でもまさか、ガンで闘病してたなんて、露も知らなかったので。
また忘れた頃に、とんでもない傑作を引っさげて、現れてくれるんだろうなあ。
そんな風に思っていました。

ああ、それなのに。

『恐怖分子』。(ああこんなときに、ニンベンに分の字が出ない!)
僕の学生時代は、この映画の衝撃とともにあった、
と言っても過言ではありません。

確か89年、池袋の今は無き、スタジオ200でした。
もしかしたら、字幕無しだったかも。しかも二時間近く、立ち見でした。
いや、あまりの戦慄に立ち尽くし続けた、と言った方が正しい。

風にさわさわと揺らぐ、女の顔の巨大な分割写真。
殺戮の衝動を一瞬の夢に留めて、自殺する男。

青い僕は、その感動を抑えきれず、
今思えば恥ずかしい程、影響下にある8?映画を撮っちゃったり。

さらに、『●嶺街少年殺人事件』。(うー、クーリンチェも出ない!!)
あの至福の4時間を、何度この映画から与えられたかしれません。
ちょうど助監督になりたての頃、不満だらけの頃で、
Vシネ現場で疲弊するたび、台湾に映画の楽園を思い描いていました。

そして、『ヤンヤン』。
完璧な映画とは、この作品のためにある言葉でしょう。
だからこそ、次が見たかった!

それなのに、遺作になるなんて…。

楊徳昌が示してくれた、映画が進むべき道。
僕は決して忘れない。




2007年06月09日


三ヶ月なんて、あっという間ですね。
いつの間にやら、もう六月。
今年も半年が終わろうとしてるんですね。
あ〜あ。

更新を怠ってる間、何をしてたかと言いますと、
ひたすら世界遺産を書いておりました。
その苦労の結晶(?)がいよいよ、続々放映されます。

で、ちょっと告知を。
今月は2本。

明日(あ、もう今日か)10日が、ポーランドの平和教会。
プロテスタントが生み出した、木造バロック!
仰天建築の話です。

そして、来週17日は、リヴァプールの港。
ビートルズの故郷は、奴隷貿易の世界最大の拠点だったという、
呪われた物語。

まあ、おひまでしたら、ぜひ。

そんなこんなで、引きこもりな日々だったわけですが、
執筆仕事の他にも、いろんなことがありまして。

まずは、『ホッテントット』のイメフォ・フェス。
ゴールデンウィークの新宿に続いて、京都でも上映してくれまして。
ホイホイと、ついて行ってしまいました。

京都って、良いっスね。
アヴァンギャルドな店が多いんですよ!
旧毎日新聞ビル地下のカフェ奥にある、
「パララックスレコード」の品揃えには、
血湧き肉踊りました。

先斗町の歌舞練場で見た、舞子さんたちの舞踊劇も素敵だったし、
良い気分で、鴨川の土手に寝そべって、缶ビールを飲みました。
ああ、幸せ。

それから。
ついに『眠り姫』の劇場公開が正式に決りました!
秋、ユーロスペースです。

そんなわけで、このHPも、
一部リニューアルしたというわけです。

てなことで、今後はちょくちょく、
日記を更新せねばならなくなりました。
ふー。

頑張りまーす。





2007年06月02日


なんか今月に入ってから、ずーっと飲んでます。
いやあ、まずい。体調は最悪です。

でもね。
飲まざるをえないんですよ、いろんな事情で。
例えば。

下北の『プロジェクト稲妻』上映会に顔出したら、鎮西さんがいまして。
そりゃ、飲み会に付き合いますよね。
で、終電で帰ろうとすると、「まあ、いいじゃないか。今夜は」。
大工原さん、常本さんに、長曽我部さんや中原さんまで居残って、朝までです。
うー。
白み始めた空の下、たらたら駅へと歩きながら、デジャブ。
この道はいつか来た道。
いやいや実際、15年程前、
フィルムキッズ助監督時代は、こんな日々でした。
うぇっ。

その翌日、名古屋へ行きました。
『実験映画とドキュメンタリーの愉しみ』という特集上映。
『ホッテントット』を掛けてくれたのですが、
ナムジュン・パイクや、ジョナス・メカスに混じってプログラムされるなんて、
光栄というより、恐縮っす。
てなことで、飲むしかないと。
久富の味噌ダレ串カツ、美味かったなー。ドテ焼きも。

帰京したら、タイの映画界で働いてる友人が、一時帰国してまして。
彼女は学生時代にさかのぼる、古い仲間です。
みんな集まり、こりゃ飲むしかないわけです。

それから『マリッジリング』の初号もありました。
みなさん、お疲れさまでしたー!
当然、飲むしかないっすよね。
そのうえ、この映画のカメラマンが引っ越してまして。
後日、新居でパーティ。
乾杯!
いやあ、しょうがないわけです。

なんか、言い訳してるだけですね。
そろそろ養生しないと。

でも、もうすぐビールの季節が到来。
ふー。




2007年03月26日


筆不精を言い訳に、更新しないまま、はや2ヶ月。
ようやく春らしくなってきましたね。

最近は何をしているかというと、
久し振りに、世界遺産の原稿書きに勤しんでおります。

世界遺産の仕事のたびに思うのですが、
僕は、高校時代、世界史を全く勉強してませんで。
赤点をくらったり、受験も文系なのに、数学を選択して誤魔化したりしたので、
今ごろになって、補習と追試を受けてる気分であります。
因果なもんですな。

そんな日々の間にも、いろいろありまして。
8?の上映会なんてのも、こっそりやってしまいましたし。
なんだかんだ、地下活動は続けております。

で、朗報です。
『ホッテントットエプロン−スケッチ』が、
今年のイメージ・フォーラム・フェスティバルの招待作品になったようで。
春から夏にかけて、全国を巡回上映することになりました。

といあえず、東京は、
ゴールデンウィークの頃にやるようでして。
また、詳細決りましたら、御報告します。

あ、『ホッテントット』のHPは、
地道に更新しておりますので、お暇なときにでも、どうぞ。
よろぴく。






2007年01月22日


今夜は、落語へ行ってきました。
ゴールデン街劇場に。
武田浩介が書いた、新作落語が聞けるというので。

武田君は、御存知の方もいると思いますが、
ピンク映画で活躍していた、脚本家です。

彼とは、十年ほど前、彼が、
シナリオ作家協会の新人コンクールに佳作で入選した頃に、
(たしか、『コトリのうた』という脚本でした)
撮影現場を体験したいということで、
当時、まだ助監督をしていた僕の下についてくれた
(たしか、安藤さんのエッチビデオでした。あ、安藤尋監督です)
ということがありまして。

そんな縁で、そのころ僕が偽名で撮った、
エッチVシネのホンを書いてもらったり。
で、そのうち彼は、
「OLの愛汁 ラブジュース」という作品のホンで、
ワーッと注目を浴びて。
ああ、良かったなあと思っていたら、
なんか、いろいろあったみたいで……。

長いこと音沙汰も無く、会う機会も無く。
どうしてるのかなあと思うことは、ときどきあり。
それは、埋もれたままの彼のオリジナルのホンが、
(たしか、ロックの名曲を題に冠したものでした)
押入れから出てきたりしたとき、ぐらいだったのですが。

まあ、そんなわけで。
武田浩介が、久し振りに作品を発表する。
それも、落語らしいと聞いて、驚きつつも納得し、
(たしか、彼の部屋には、落語の本やテープがたくさんあったので)
馳せ参じたわけです。

いやあ、傑作でした。
『恋と魔心眼』

まるで、増村のようだった。オチへ向かう加速度が。
『華岡青洲の妻』?っていうより、谷崎の『春琴抄』か。
それって、つまり落語と言えるかどうか。
いや、笑いとは狂気なのだから、まさしく落語でしょう。

本人を捕まえて、
「良かったよ」と素直に誉めたのに、
「ジョークが口からこぼれてますよ」と、
斜に構えられました。

相変わらず、シニカルな奴です。




2007年01月12日


明けましておめでとうございます。
と言うのも、もう遅すぎますね。

ようやく、編集の目途がつきまして。
ひとまず、ホッとしているところです。
『マリッジリング』の。
あ、昨年の終わりからやってます、新作映画です。

とにかく、怒涛でした。

『ホッテントット』の上映から、
十日ほどで準備して、十日足らずの撮影期間。
そのままの勢いで、年の瀬までに画を繋いじゃうという、
スピード仕事。

しかし、
そんなドタバタで作ったとは思わせない、出来栄えになるんじゃないかな。
昔取ったキネヅカは、サビてはいなかったようで。
我ながら、感心。
スタッフ・キャストのみなさん、ありがとう!
お疲れ様……と言うのは、ちと早い。

まだまだ仕上げ作業は続きます。
てなことで、また。













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